【五大湖のふところミシガンで暮らす】
鳩山 幹雄  

この秋から長女が通う州立大学
この秋から長女が通う州立大学
リビングルームに飾られた、サモアの海を描いた絵はアートを専攻するという長女の作品
リビングルームに飾られた、
サモアの海を描いた絵は
アートを専攻するという長女の
作品
このミシガンの家での暮らしはいつまで続くのやら
このミシガンの家での暮らしは
いつまで続くのやら



第47回(最終回)かわいい子には旅をさせよ?


乗り継ぎ便に乗り遅れ

今回の里帰りは2年ぶりということもあり、ことのほか雑用に追われた。加えて3〜4日に一度の割合で歯医者にも通わなければならず、思うほど計画的に過ごすことができなかった。東京へ出向く機会も得られなかったし、連絡せず仕舞いの友人も数名いたので、滞在の延長も考えたが、夏休み中の日本→アメリカ便は満杯で変更はほぼ不可能とのこと。けっきょく長女ひとりだけは1週間遅れて戻ることになったが、残り5名は予定通り日本を離れた。

名古屋空港で双方の家族に見送られて、成田経由で日本を発ったまではよかった。だが、経由地のヒューストンでとんだ災難に遭遇。イミグレーションの手続きが予想以上に長引き、デトロイトへの乗り継ぎ便に乗り遅れてしまった。乗り継ぎに2時間半のゆとりがあったのだから通常ならじゅうぶん間に合うはずだが、9月11日のテロ以来、アメリカの入国審査は一段と厳しくなったこともあり、とくに観光客でない者は手続きに時間を要するようだ。

客の落ち度ではないので、航空会社がほかの便を手配してくれるが、次のデトロイト便は満杯とのこと。仕方なくいったんまったく方向違いのテネシー州メンフィスへ飛んでから再び乗り換えてデトロイトへ入ることになった。料金を優先してコンチネンタル航空を利用したのが裏目に出てしまった。

1500ドル($250×6名)浮かせるために名古屋→成田→ヒューストン→デトロイトという、直行便に比べたら倍の時間がかかるほどの遠回りを覚悟していたのだが、ヒューストンからさらにメンフィス経由でデトロイトなのだから、たまらない。 成田での待ち時間が4時間、ヒューストンで5時間、メンフィスで3時間、それに飛行時間を加えると名古屋からデトロイトまで30時間近くかかってしまった。なんと直行便の3倍弱。空港から自宅までは高速道路を飛ばしてさらに3時間。「少しぐらい高くても今度は絶対にノースウエストの直行便」と、妻と2人、かたく決意した。

生まれて初めてのひとり旅

帰宅と同時に日本へ連絡を入れ、1週間遅れてアメリカ入りする長女へヒューストン→デトロイト便を1本遅らせるようアドバイスした。今まで幾度となく飛行機旅行はしているが、なにせ長女にとっては生まれて初めてのひとり旅。加えて長女は病的とも言えるほど極度の方向音痴。アメリカの主要空港はとにかく広い。突如見知らぬ空港に放り出されたら、おそらくひとりで乗り継ぎ便に辿り着くことなどできない確率のほうがはるかに高い。

満杯の時期の予約変更なのでかなり苦労したが、出発前日になんとか変更でき、ヒューストンでの乗り継ぎ時間にゆとりを持たせた。おかげでデトロイト便に乗り遅れる危険は回避できた。それでも、本人のみならず、長女の方向音痴を知る家族はみな不安を募らせた。妻は娘宛に、各空港での道案内を懇切丁寧に記した「用意周到なメール」を送った。

かくて1週間後、娘を迎えに再びデトロイト空港へと車を走らせた。飛行機到着予定時刻の午後10時40分ちょうどに空港へ到着。イミグレーションや手荷物検査はヒューストンで済んでいるので着後20分ほどで現われるはず。ところが30分過ぎても現われない。さらに10分、そして20分経過してもまだ現われない。そしてとうとう1時間が過ぎた。 まさか……と、ちょっと心配になった矢先、やっと姿を現わした。とにかく無事到着し、妻と2人ほっと胸をなでおろした。ところが本人は、「へっちゃらだったよ。もう大丈夫。どこでもひとりで行ける」と豪語。果たしてこの自信はどこからくるものやら。

なにはともあれ再び一家6人が揃った。そして、まもなく新年度が始まる。長男は高校のジュニア(4年制の3年生)に、次男はソフォモア(4年制の2年生)に、末っ子は6年生に、そして長女は地元の州立大学への入学が決まっている。

あと○○年ミシガンに暮らす、といった長期的展望があるわけではないが、この調子だと、我が家のミシガン暮らしはもうしばらく続くのだろう。




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