5 子供の運転指導は親の責任


教習車

実地訓練には,インストラクター所有の
車を使用するので、車種はいろいろ。
ワゴンやバンのこともある。 車には
「DRIVER EDUCATION STUDENT DRIVER」
のサインを乗せて走る
 日本の学齢だと、高校三年生の長女と中学三年生の長男が最近車の運転の練習に熱心だ。

 夏休みの前にドライバーズ・エデュケーションと呼ばれる運転免許講習の案内を学校からもらって来た。受講料は一人110ドルで、ミシガンでは14歳と9ヵ月に達していればこの講習を受ける資格があるというので、長女とともに15歳を目前に控えた長男も休み中に受講した。

 1日2時間の講義を12回受講した後に筆記試験を受けるというのは、現役の学生なので簡単にパスしたようだが、実地訓練の方はそれぞれ多少の苦労があったようだ。

 ことに極端な方向オンチなうえ、運動神経が鈍めの長女は、通常6回で終わるはずの実地訓練を4回も余分に受けた。規定回数より多い分のお金を払わなくて良いと知り、ホッと胸を撫で下ろした。なかなか良心的だ。

 14歳にして、生まれて初めて車の運転をした長男に聞いて驚いた。

 「まずエンジンかけて、自分で運転して、時速50マイル(80km/h)で隣町まで行って来たよ」。

 まるで遊園地の乗り物にでも乗って一回りしてきたようなセリフ。日本の自動車教習所の常識を知らない息子は涼しい顔でその4日後には、時速110キロ以上で高速道路も走ったという。

 そんなこんなで、現在は親もしくは親が許可した21歳以上の運転免許保持者が助手席に同乗していれば運転しても良いという、条件付免許を二人とも取得している。この免許で親の責任の下、規定の運転練習をして、16歳以上で路上実地試験をパスすれば、初めてひとりで運転できる正規の免許証取得となる。

 自信を持って子供たちを路上に出せるまで、本試験を受けさせるわけにはいかない。 親がこれほど、子供たちの運転の練習に関わらなければならないとは思いもよらなかった。日本に比べると運転教習にかかる費用は30分の1という落とし穴がここにあるのだ。

 運転技術が未熟な子供たちのドライブする車の助手席に乗るという行為は、精神衛生上とても良くない。そのうえ恐い。

 夫などはあまりに恐ろしいので、このスリリングな席を完全に放棄している。そのくせ、「今日もぶつかりそうになった」と言いながら子供たちの運転する恐怖の助手席から降りる私に「あまりけなさず、自信を持たせろ」などと勝手なことを言っている。

 教習車のようにうちの助手席にもブレーキがほしい、と思いかけているこの頃である。

(shes netに連載されたものを転載しております)


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