【五大湖のふところミシガンで暮らす】
鳩山 幹雄  

香港チームによる獅子舞い
香港チームによる獅子舞い
香港チームによる中国棒術
香港チームによる中国棒術
ボスニアン民族舞踊
ボスニアン民族舞踊



第13回 留学生の集い「インターナショナルエキスポ2002」


世界の民族料理に舌鼓

先週の日曜日、「インターナショナル・エキスポ2002」に家族で出かけた。この地区に暮らす留学生が中心となって開催されるイベントで入場は無料。そのうえショーや試食コーナーもあると聞き、お腹を空かせたまま勇んで会場に。

会場には開会時刻の午後1時を15分ほど遅れて到着。入口で参加国数を尋ねたところ今回は30カ国とのこと。おもな参加国はペルー、チリ、ブラジル、メキシコ、コロンビア、エクアドル、ドイツ、フランス、スペイン、チェコ、イスラエル、ラトビア、ウズベキスタン、タイ、オーストラリア、ラオス、エジプト、ウガンダ、ケニア、中国、チベット、パレスチナ、ボスニア、インド。

開会式が終わり通路を流れ始めたばかりの人波に合流。いろんな国々の展示品を眺めて視野を広めようという意図がないわけではないが、やはり一番気になるのは食文化。ポスターや書物、絵葉書、写真、地図、民芸品……といった展示品だけのブースは軽く通りすぎ、試食コーナーのあるテーブルで立ち止まる、というパターンで通路を進んだ。普段なかなか口にできないような風変わりな味を楽しめるせっかくのチャンスなのだから、つい食い意地が張ってしまう。

無料のイベントにわざわざ料理を用意するグループはそれほどないだろうと思っていたが、意外にも多くの料理があちこちに用意され、ことのほか充実していた。とくにボスニアなどは、展示コーナーとは別に料理だけが並ぶテーブルまで用意され、ミートパイやチーズパイ、それにデザートなど、たっぷりと用意されていた。おかげで家族一同満腹に。

本物のカンフーにしばし感動

お腹がふくれたところでショータイム。一番手は息子たちが期待する香港グループによる中国武道カンフー。ブルース・リー・ファンの息子たちは、本場のカンフーを目にすることができるとあって期待に胸を膨らませて最前列に陣取った。前座の獅子舞に続いていよいよあのカンフー特有の衣装を身に付けた中国人が登場。10人ほどが順に披露する型、棒術、スパーリング、護身術等を、息子たちと一緒に見入った。「ジャッキー・チェン映画のワンシーンでも見ているみたい」と妻が隣でつぶやいた。

続いての余興はメキシコのダンス。ソンブレロでもかぶった髭面のメキシコ人を想像したが、現われたのはジーンズ姿の若い2人。軽快な音楽が流れると、2人は腰をピッタリとくっつけ、膝を互いの股間に押しつけるようにしてステージを笑顔で踊り跳ねた。 きっとメキシコの若者のあいだではこんな音楽と踊りが流行っているのだろう。なんだかひと昔前に流行ったランバダを彷彿させた。踊りが終わり2人がお辞儀をすると場内は拍手喝采。アンコールのかけ声まで飛びだし、結局2人はもう1曲踊ることに。

ボスニアの民族音楽も力が入っていた。お揃いの民族衣装をまとった男女約20人が舞台狭しと踊り回った。それでもみっちりと1時間近く踊り続けたボスニアダンスへの拍手はメキシコの2人には及びもしなかった。

舞台ではまだまだ余興が続いたが、お目当てのカンフーを見終えてしまった息子たちは口を揃えて「飽きた」というので帰ることに。末っ子が会場をもうひと回りして中国ブースからひと握りのフォーチュン・クッキーを手にして戻ってきた。 フォーチュン・クッキーは、ギョウザを内側に折り曲げたような形の中空の煎餅で、割ると中から台詞の書かれた紙切れが現われる一種の占いで、ミシガンに限らずアメリカのたいていの中華料理店では、会計時に人数分のフォーチュンクッキーが手渡される。

末っ子から受け取ったクッキーを割り、出てきた紙切れに目を落とした。 「You need not worry about your future(将来の心配は不要)」 なんと心強いひと言。ギターを弾きながら歌うのが趣味の末っ子のクッキーから出てきた紙切れには、 「Sing and rejoice, fortune is smiling on you.(陽気に歌えば幸福の女神が微笑みかける)」 親子ともども歴史ある中国の叡智に素直に耳を傾けることにしよう。



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