【五大湖のふところミシガンで暮らす】
鳩山 幹雄  

見事なまでに磨き上げられたパトカーと消防車
見事なまでに磨き上げられた
パトカーと消防車
火事体験コーナー
火事体験コーナー
このカッコいいスポーツカーもパトカー
このカッコいいスポーツカーもパトカー



第23回 野外コンサートに映写会……無料イベントを家族で満喫


ホットドッグもピザも食べ放題!

「ナショナル・ナイト・アウト・アゲンスト・クライム」というイベントに家族で出かけた。警察主催の青少年に防犯防火を呼びかける恒例行事で、今年で19回を数える。毎年会場にしている公園は改築工事中のため今年の会場は長女と長男の通う高校。人混みは苦手だが、各家庭に配られたチラシの「FREE FOOD!!!!!(食べ物無料)」の文字につい誘われ、足を運ぶことに。

イベント開始時刻の午後6時に遅れること15分、校舎の裏手の駐車場に到着。生徒が自家用車通学するだけあってさすがに広い。その広大な駐車場の一角にはピカピカに磨き上げられたパトカー、消防車、救急車などがズラリ。やや西に傾いた夕日に照らされて輝き、子供たちの視線を集めていた。

点在するブースでは各種パンフレットやステッカーが配られ、会場の端々では警察官による車引き競争や、避難訓練などのイベントが繰り広げられ、人だかりができていたが、我が家の第1目的は腹ごしらえ。まずはフリー・フード・コーナーへ一直線。

通常この種のイベントで用意される食べ物といえば十中八九ホットドッグ。ところが今回はその定番のホットドッグに加え、ちょっと甘く煮込んだミンチをバーガーバンズではさんだスラッピージョーと焼きたてのピザの3種。それぞれの窓口はすでに長蛇の列だったが、めげずに2人ずつに分かれてそれぞれの列の最後尾に。育ち盛りの息子たちはホットドッグの1つや2つでは満腹にならない。結局一家6人でホットドッグとスラッピージョーをあわせて17、18、それにピザも7、8切れ平らげた。飲物も無料で、コーラやスプライトなど缶入り炭酸飲料が飲み放題。引換券も必要なく何本でも持ち帰り自由。

往年のヒット曲の生演奏に酔いしれる

食欲を満たしたところで会場をぐるりと一周。末っ子が楽しめそうなスモークハウスという火事体験コーナーの短い列に並んだ。ところが15分ほど待ってもまだ順番が回ってこない。しびれを切らした子供たちは野外コンサートと映写会が開かれる芝生へ。仕方なく妻と2人でスモークハウス体験。煙探知機の知識、火事や火傷の予防などの説明に続いて避難訓練。

室内に煙が充満し始めると、小部屋に押し込められた10名ほどが指示にしたがって一斉に床に膝をつき、尻を上げ、床に擦り付けるように下げた頭を両手で覆った。煙は上から充満するので、とにかく頭を下げて床を這うようにすれば、煙にむせることなく脱出が可能になるという解説に、水面の餌をついばむアヒルのような格好のまま耳を傾け、そのまま窓まで這って無事脱出。

コンサート会場で準備を進めるバンドメンバーを眺める息子たちに合流。娘はクラスメートと出会い、芝生の外れで立ち話。フード・コーナーから缶ジュースとピザをさらに数切持ち帰ってステージ近くの芝生に腰を下ろすと、ちょうどチューニングを終えたバンドがオープニング曲を始めた。 そして2曲、3曲……と続く歌がみな、70〜80年代のディスコ、ソウルヒット曲。曲名は思い出せないが、学生時代によく耳にした往年のヒット曲。そして極めつけはワイルドチェリーの「プレイ・ザット・ファンキー・ミュージック」。1970年代中盤、ミシガンに暮らしていた頃、この曲がかかるとステージではみなパートナーと互いのオシリを軽くぶつけあうバンプと呼ばれる踊りを始めた。

妻も生演奏がことのほか気に入った様子で、色を失いつつある夕空に響きわたるサックスの音色に酔いしれた。息子たちも生バンドの迫力が結構気に入った様子。知らない曲ばかりのはずだが楽しそうにステージを見つめた。

日没とともに急に気温が下がり、寒さに体が震え始めた。あと1曲聴いたら帰ろう、と思いつつ、結局最後まで丸1時間、寒さに堪え芝生に腰を下ろしたまま曲にあわせて体を揺すりながら迫力ある演奏に聞き入った。 その後すぐ隣の巨大スクリーンで上映される「シュレック」を楽しむつもりでいたが、さらに冷え込みがきびしくなったのでスクリーンへと向かう人混みに背を向け会場を後にした。

生バンドの覚めやらぬ興奮に、帰宅と同時に息子たちはギターを手にし妻はエレクトーンに向かい、まもなく家族でセッションが始まった。こうやって刺激を受け続ければ、ファミリーバンド結成の夢も、もしかしたら叶うかもしれない。



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