【五大湖のふところミシガンで暮らす】
鳩山 幹雄  

スーパーの店頭に並ぶハロウィン用カボチャ
スーパーの店頭に並ぶ
ハロウィン用カボチャ
個性あるハロウィンデコレーション。リアルな魔女が訪問者に話しかける
個性あるハロウィンデコレーション。
リアルな魔女が訪問者に話しかける
「TRICK OR TREAT」に出かける子供たち
「TRICK OR TREAT」
に出かける子供たち



第27回 秋のイベントは何といってもハロウィン


祭りの主役はカボチャ

「ねぇねぇ、そろそろハロウィーンの飾りつけをしようよ」

10月に入って間もなくのこと、家族で買物の途中に末っ子が唐突に言った。その末っ子の視線を追うと、前方には毎秋2カ月ほどだけハロウィン関連商品を扱う店舗があり、ショーウィンドウにはカボチャのお化け、カカシ、ガイコツ、グロテスクなお面などがズラリ。

ハロウィンは、あらゆる聖人を記念する万聖節(All Saint's Day-11月1日)の前夜祭。秋の収穫を祝い悪霊を追い出す祭りで主役はカボチャ。オレンジ色のカボチャに目鼻口をくり貫いたジャッコーランタン(jack-o'-lantern)と呼ばれるカボチャちょうちんを、玄関や前庭などに飾る。

9月に入るとこのジャッコーランタンがあちこちに現われ、街路樹の紅葉とともに街にはにわかにオレンジ色が増す。我が家もプラスチック製カボチャやお化け、コウモリのシールなど、1年間仕舞い込んであったハロウィングッズを引っ張り出し、玄関を飾った。

ハロウィンのもうひとつの特徴は仮装。10月31日の夜、子供たちは仮装して近所を回り、ハロウィンの飾り付けのある家の玄関を手当たり次第ノックする。ドアが開くと「Trick or treat!(お菓子を出さないとイタズラをするぞ)」という決まり文句を言い、キャンディーをもらう。 「○○近辺を回ると高級なお菓子が貰える」「□□周辺は1軒あたりのお菓子の量が多い」といった情報を入手し、かなり遠出するグループもいる。

昨年たくさんお菓子を手に入れた我が家の子供たちは今年も4人ともみな仮装し、それぞれ友だち同士で集まると「できるだけたくさんお菓子を手に入れよう」と意気込み、思い思いの地区に「Trick or treat!」に出かけた。

長男はブルース・リー、末っ子は布テープ怪人

ハロウィンにはあちこちで仮装パーティーも開かれ、仮装大賞を目指して毎年手作りの衣装で臨む者もいる。小学5年の末っ子は小学校で開かれた仮装大会に出席。今年は賞金が50ドルと知り、イベント当日まで「何に化けよう」と悩んでいたが、結局左半分は人間、右半分がお化けというお面をかぶり、体も右半分を銀色の布テープでぐるぐる巻にし、さらに服に赤い絵の具で傷を描き、名のない怪物になって参加。

「たしか親も参加できるって書いてあったよな。よーし、じゃあこれに化けようかな」といってもうひとつのグロテスクなお面をかぶり、昨年長男が使った真っ黒な死神らしき衣装を着ると、末っ子は「お父さん、お願いだからやめて。大人はだれも仮装なんてしてこないから」といって真顔で反発。結構ここの暮らしに馴染んだ様子だが、まだまだ日本人的羞恥心は捨て切れていないらしい。

ハロウィンの仮装は、伝統的にはガイコツ、ドラキュラ、フランケンシュタイン、ゾンビ、殺人鬼など、お化けや怪物に化けるのが本来のはずだが、いつからか白雪姫、天使、マンガのキャラクターなど、何に化けても構わなくなったようだ。息子の仮装パーティーでも恐怖系の仮装に加え、お姫様、動物、ロック歌手などバラエティーに富んでいた。

ちなみに優勝者はテーブル。白い布で覆った大きな段ボール箱の中心から頭だけだし、お皿や食べ物をあしらい、頭には大きなレタスの葉をかぶっていた。とくに凝っているというほどではないがアイデアはなかなか。市販のお面や衣装を身に付けただけ、という仮装が大半なので、個性のある手作りの仮装に人気が集まったのだろう。

50ドルは逃したものの「銀の布テープ怪人」姿が非常に気に入ってしまった末っ子は、母親に真顔で尋ねた。

「明日もこの服着て学校に行っていい?」

その無邪気な発言に妻は言葉をなくし、黙ったまま微笑み返した。



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