【五大湖のふところミシガンで暮らす】
鳩山 幹雄  

フィフティーズの雰囲気たっぷりのストリート・ダンス・ショー
フィフティーズの雰囲気
たっぷりのストリート・ダンス・ショー
サンフランシスコ・イン・ユニバーサル・スタジオ
サンフランシスコ・イン・
ユニバーサル・スタジオ
子どもたちお気に入りのジュラシック・パーク・ライド
子どもたちお気に入りの
ジュラシック・パーク・ライド



第46回 夏の思い出はユニバーサル・スタジオ・ジャパン


歯科治療は日本で

日本滞在中に一家で歯科治療に専念した。じつを言うと4月に入って間もなく、末っ子が歯痛を訴えた。だが幸いすぐに痛みが消えたので、日本へ里帰りするのを待って治療するつもりでいた。というのも、アメリカの歯科治療はとにかくバカ高いと聞いているので、よほどのことがないかぎり、恐ろしくて足を運ぶ気にはなれない。

なにはともあれ事前にEメールで友人に頼んで歯医者の予約を入れ、帰国と同時に一家全員まずは検診を受けた。深刻な虫歯のなかったのは長男ただひとり。ほかの5人は少なからず虫歯が見つかり、それぞれ3〜6回通うことに。 忘れていたあの神経に触れたときの「チカッ」という痛みを久しぶりに体験、痛みをこらえてぎゅっと握り締めたこぶしに汗がにじんだ。

「みんなが治療するとき、オレもいっしょに歯医者に行っていいかなぁ」と、2度で治療の終了した長男が妙な発言をした。治療の必要もないのに好んで歯医者へ付き添いたい理由を、隣にいた次男がすかさず言った。「マンガが読みたいんだろ」そう言えば、待合室の本箱にズラリとマンガの単行本が並んでいた。普段マンガに触れる機会がないので、帰国中にたっぷりと「読み溜め」しようという魂胆らしい。

サモアに暮らした頃はまれではあるが、医者にかかることもあった。発展途上国の医療レベルのほどは素人にはわかりかねるが、医療費の心配は無用だった。保険もなにも必要なく、外国人でもだれでも治療費は日本円にして毎回数十円と、ウソのように安かったので、ためらわずに医者に通うことができた。

ところが世界トップレベルの医療技術を誇るアメリカに暮らす現在、医療費が気になって医者に足を運ぶことをためらってしまうというのも滑稽といえば滑稽かもしれない。

なにはともあれ、ミシガンに越してこの2年間、我が家は誰ひとり医者にかかることなく暮らせている。日本を離れて早6年、我が家の海外生活が今のところ比較的スムーズなのは、一家全員が運好く健康に恵まれているからかもしれない。

6年半ぶりのユニバーサル・スタジオ

2年ぶりの里帰りが、歯医者通いと雑用に追われるばかりの日々ではちょっと寂しい。孫を思う祖父母のおかげで寿司、うなぎ、焼肉……といったご馳走を味わうことはでき、食欲だけは着実に満たされたが、できれば1日くらいは思い出に残る家族の休日を過ごしたい。 「この忙しいのに、のん気に遊んでいる暇はない」という妻の反対を押し切り、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンを訪ねることにした。すでに2度訪れたという妹が案内役を買って出てくれたので、7人で大阪を目指した。

心配したのは天候。梅雨の真っ只中なのでどんよりとした空模様だったが、幸いなんとか雨は降ってこなかった。混雑状況も心配だったが、到着した時にはすでに開園時間を1時間過ぎていたにもかかわらず、駐車場はガラガラ。おかげで待ち時間も比較的短く、ターミネーター、バック・トゥ・ザ・フューチャー、ジュラシック・パーク、ジョーズ、ETなどおもなアトラクションは制覇した。

本場アメリカのユニバーサル・スタジオに比べるとやはり規模は小さくアトラクションの数も少ないようだが、それでも「アメリカン・グラフィティ」の舞台となったメルズ・ドライブインも再現されていたし、その前で繰り広げられたフローショーも楽しかった。フィンテールの真っ赤なキャディラックのオープンカーとともにローラースケートで現われたミニスカートのウエートレスと数名のダンサーたちの繰り広げるジルバは、まさにアメリカン・グラフィティの再現。心が踊った。

玄関を出て駐車場へと向う途中「どれが一番良かった?」と末っ子に尋ねてみた。しばらく考え込んだ後に決めた末っ子の答えは意外にもアニマル・アクターズ・ステージ。愛嬌のある演技をしたチンパンジーが、たまらなくかわいらしかったようだ。

96年暮れにフロリダのユニバーサル・スタジオを訪れた家族旅行のことは、当時4歳だった末っ子はほとんど何も覚えていない。今回のユニバーサル・スタジオ・ジャパンの思い出は、はたしていつ頃まで記憶に残っているのだろうか。




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