【五大湖のふところミシガンで暮らす】
鳩山 幹雄  

夜る遅くまでたくさんの映画ファンが詰めかける
夜る遅くまでたくさんの
映画ファンが詰めかける
あちこちのスーパーに並ぶハリー・ポッターグッズ
あちこちのスーパーに並ぶ
ハリー・ポッターグッズ
目抜き通りに立つ「2ドル」の看板
目抜き通りに立つ「2ドル」
の看板



第5回 さすが映画大国アメリカ …封切映画が1人たった5ドル!


親子で3年半ぶりの映画鑑賞

息子3人を連れて男4人で映画に出かけた。次男の執拗な押しに根負けし、重い腰を上げて出向いたのは、興業記録を塗り替えたと噂の『ハリー・ポッター』。こちらでは日本よりも2週間ほど早い11月中旬に封切。その封切直後に友だちといっしょに出かけた長女と、映画館に入るとすぐに居眠りを始めてしまう妻は留守番。

9歳の末っ子を除く子供3人は小説を読んでいる。日本語訳既刊の1、2巻は数カ月前の一時帰国中に『ハリー・ポッター』ファンの近所の友だちから借りて読み、3巻はこちらで長女の友人から借りて読んだ。映画化されたのは『ソーサラーズ・ストーン』という副題のついた1巻で、長女いわく「小説の内容に忠実に表現されていたし、景色の映像も違和感がなかったし、ハリー・ポッター役の俳優もかわいかったし…、結構良かったよ」

映画は決して嫌いではないが、テレビやビデオで結構楽しめる現在、わざわざ映画館へ足を運ぶことはまれ。とくに日本では、映画館で客のマナーの悪さに幾度か腹立たしい思いをして以来、足が遠のいた。

実際今回は、サモアで家族揃って『タイタニック』に出かけた1998年以来じつに3年半ぶり。その前はさらにその3年ほど前の1995年で、当時小学低学年だった息子たちにねだられて出かけた『ゴジラ対デストロイヤー』。このペースだと次回映画館へ足を運ぶのは2004年かも。

親子の触れ合い・日米比較

日曜日ということもあり、映画館では家族連れをたくさん見かけた。ポップコーンを片手に親子で映画を楽しむ姿はほのぼのしい。それにしても封切映画が大人も子供も一律1人5ドルという料金は魅力。封切でなければ1人2ドルという映画館もある。そんな手頃な料金だからこそ家族揃って封切映画に出かけることもできる。でもこれが、もし日本と同じ料金だったら、おそらく見合わせる家族も多いはず。

映画にかぎらず、アメリカ人は家族で過ごす時間を尊重する。日本でも子供が幼いうちは家族の時間を大切にする。でも子供が小学高学年、中学生……と、成長するにつれて家族バラバラの暮らしが始まる。父親は接待、母親はパートに社交、子供は塾にお稽古……で、一家揃って食事をしたり、日曜日に外出したりという時間が極端に減少する。

とくに日本人の父子の触れ合いはアメリカ人に比べると少ないという。とある統計によると、父子の触れ合い時間は平日平均が3分、週末で19分というじつにショッキングな数値。二昔、いや三昔前なら、公園で父子でのキャッチボールや野球観戦という光景もそれほど珍しくなかった。 振り返れば小学生の頃、父親にねだって野球観戦に出かけた記憶がうっすらと頭の片隅に残っている。プロレス観戦に出かけたこともある。それが今では父子でキャッチボールどころか、子供同士で遊ぶ姿さえまれ。

映画館からの帰路、息子たち3人は、おもしろかったシーンや大きなスクリーンの迫力、サラウンド音響効果など、それぞれが興奮覚めやらぬ感想を口にした。そして長男がぼそりと付け足した。 「やっぱり、お母さんは来なくて正解だったね。来てたら絶対途中で寝てたよ」 果たして、長男は母親のことをどう理解しているのだろうか。



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