【五大湖のふところミシガンで暮らす】
鳩山 幹雄  

この大きなハムのかたまりが特売だとわずか10ドル
この大きなハムのかたまりが
特売だとわずか10ドル
電子レンジかオーブンで温めるだけという簡易食品はバラエティー豊か
電子レンジかオーブンで
温めるだけという簡易食品は
バラエティー豊か
肥満の原因…甘い甘いケーキやパイなどの<BR>デザート類
肥満の原因…甘い甘い
ケーキやパイなどのデザート類 



第7回 体重増加にご用心!…アメリカ暮らしはデブになる!?


すっかり変わった我が家の食生活

ミシガンの暮らしは、気候や服装はもちろんのこと、学校生活や余暇の過ごし方など、サモアとはまるで正反対。もちろん、人口16万人の常夏の島での暮らしとカナダに接する北国ミシガンとの生活を比べるのだから、暮らしぶりが異なるのは至極当然。

なかでも一番身近な変化は食生活。サモアでは、オーストラリア米と安くて新鮮な魚介類を主食としていた。ありがたいことに新鮮なマグロやカジキが、キロあたり200円で手に入ったので、飽きるほど刺身を食べた。フエフキダイやヒラアジなどは、夕方1、2時間ほど岸から糸を垂れれば、4、5匹は釣れた。カニやエイが釣れたこともある。週に1度は手巻き寿司という暮らしだった。

ところがミシガンでは、そういった鮮魚は簡単には入手できない。スーパーで刺身になるような鮮魚を見つけることはまず無理。火を通すつもりがあるなら魚介類も手に入らないわけではないが、ほかの食材と比べるとあまりに割高なので、つい敬遠してしまう。とくに肉類と比べると、よほどの記念日でもなければ食べる気にならないほど高額。

細かった妻が…

経済効率を重視した結果、我が家の食卓に並ぶのは圧倒的に肉類。なにせお買得品で良ければ100グラムあたり牛肉は45セント〜、豚肉は22セント〜、チキンは13セント〜……と、とにかく安価。ハムなどはバレーボールほどもあるかたまりが10ドルほどで買えてしまう。加えて缶詰め類や電子レンジでチンするだけのお手軽食品やオーブンに入れるだけの冷凍食品が山ほどあるので、サモアに暮らした頃のようにせっせと和食を作ることもなくなった。我が家の夕食メニューの定番だった茶碗蒸しも、ミシガンに越して以来まだ1度も味わっていない。

カボチャ、リンゴ、ブルーベリー、チェリーなどのパイ、チーズケーキ、ドーナツといったデザート類も日本に比べればはるかに安い。アイスクリームなどは1/2ガロン(1.89L)入が3箱で5ドル。牛乳もオレンジジュースも1ガロン(3.78L)約2ドル、缶ビールは12オンス(336g)1ダースで約5ドル(約42セント/缶)。さらにありがたいことに食料品には消費税もかからない。

そんな肉類に甘いデザートたっぷりという食生活を数カ月続けた結果、体重が1割増加し下半身がひと回り太くなってしまった妻は、「これではいけない」と感じたらしく、先日ついにダイエット宣言をした。何せ今まで履いていたジーンズがはまらなくなってしまったのだから事態はかなり深刻。

街のあちこちで見かける関取のような体形のアメリカ人を見つめながら「どうしたらあんなに大きくなれるんだろうね」と日頃つぶやいていた妻だが、「このままだとまもなく人ごとでなくなる」と思ったようだ。

さっそく体重計を購入し、食事は割高ながらも野菜中心に切り替えた。ときには1丁2ドルもする豆腐まで購入する。そして毎夜就寝前にはベッドの上で腹筋したり、両腕で腰を支えて両足を高く跳ね上げて空中で自転車をこぐように両足をくるくると回したり……と、本格的に減量に取り組み始めた。

以来毎日幾度も体重を計っては「順調、順調」とつぶやいてはいるものの、はたして妻のこの努力が報われる日がやがて訪れるのだろうか。



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