【五大湖のふところミシガンで暮らす】
鳩山 幹雄  

鹿注意の道路標識
鹿注意の道路標識
ハイウェイのあちこちに見かけるアライグマの死骸
ハイウェイのあちこちに
見かけるアライグマの死骸
道路端にはねられたばかりの鹿を発見
道路端にはねられた
ばかりの鹿を発見



第8回 ミシガンの野生動物はくさい!?


悪臭に鼻がゆがむ!

「くさ〜い! なに、これ。ガス漏れじゃない?」

庭先で子供たちが、風に乗って漂ってきた異様な臭いに鼻をゆがませて言った。確かに表現し辛い悪臭に違いないが、その正体は明白。間違いなくスカンク。といっても生まれて初めて体験するのだから子供たちが見当つかなくても不思議はない。

スカンクの屁がくさいことは有名だが、その臭いを現実にかいだことがある日本人はそうはいないはず。といっても正確には、あれば屁ではなく分泌液。危険を察知すると、オシッコをかけるように異臭を放つ液をピューと発射する。とにもかくにもその威力はまさに脅威。大げさでなく、1キロほど先までその臭いは届く。

ハンドルを握っていて、もし運悪くスカンクをはねてしまったりしたらとんだ災難。車についた悪臭は、どんなにゴシゴシ洗おうとも少なくとも数日間は消えない。万が一衣服にあの分泌液がかかろうものなら、それがどんな高級な服でもあきらめるしかない。

先日偶然見た「世界のくさい生き物」というテレビ番組では、スカンクは堂々その2位にランクされていた。第1位でないことが不思議だが、第1位はオーストラリアのタスマニア島に生息するタスマニアデビルだというので、このアメリカ大陸に限るならスカンクは文句なく堂々1位(ちなみに手元にある百科事典のスカンクの項には「世界一くさいほ乳類」とある)。

幹線道路には「シカ注意」の標識が

自然の豊富なミシガンにはスカンク以外にも野生動物はたくさん生息している。一番身近なのは、リスとシマリス。公園はもちろんのこと、一般住居の庭先や街路樹の並ぶ街の歩道など、いたるところで見かける。我が家の窓越しにもシマリスが跳びはねる光景が楽しめる。息子たちは手懐けようとして時折パンくずを巣と思しき穴の周辺に与える。

シカとアライグマもよく見かける。地方の幹線道路を走るとほとんど必ずと言えるほどはねられたアライグマを路肩に見つける。道路に飛び出したシカをはねてしまうという災難も珍しくないので、幹線道路には「シカに注意」の標識があちこちに見られる。

アライグマはともかく、シカをはねると車が破損してしまうので、かなり厄介。そんなことはめったにないとも思うのだが、同乗していた車がシカをはねたことがあるので、まったく他人事のようにも思えない。我が家の自動車保険も、勧められてシカをはねたときの被害を補う特約を契約に加えた。

クマも生息するらしいが、幸いまだ出会ったことはない。イタチ科に属するクズリ(wolverine)もミシガンの野生動物として知られる。ミシガン人のニックネームにもなっているというこのクズリ、体は小さくても凶暴で大きな相手にでも怯むことなく立ち向かうという。加えてくさいことでも知られ、先述のテレビ番組では堂々第4位にランクされていたが、今のところクズリを見たこともそのくさいという臭いを嗅いだこともない。 それにしても5本の指に入るくさい動物が2種類も生息するミシガンは、もしかしたらそうとうくさい州なのだろうか。



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