3 自由な時間、選択が多いミシガンの夏休み


Michigan Summer

地域の恒例イベントで夏の野外コンサートを
楽しむ親子連れ。入場無料、映画、
コンサート、ピザ、ホットドッグ飲み物なども
全て無料という太っ腹なのがうれしい。
 「おい。今日は何曜日だ? まさか日曜じゃないよな。日曜だったらたしか食事に招待されていたぞ」

 子供たちの夏休みと時を同じくして休暇に入った夫が言った。

 「えっ? 今日はたぶん土曜日だと思うけど。昨日買い物に行ったから、レシートの日付けを見ればわかるはず」

 ずいぶんマヌケな夫婦の会話ではあるが、これはアメリカの「夏休み」がイケナイのだ。6月の上旬に子供たちの夏休みが始まって以来、我が家の暮らしはカレンダーも時計も意識する必要がなくなった。毎日、目が覚めた時に起き、腹時計にあわせて食事をとり、好きな時間に就寝という、気の向くままのなんとも怠惰な夏休みを過ごしている。

 日本で暮らしていた頃は「夏休み」と言えど結構忙しかった。小学生を子に持つ親のサガで、ラジオ体操、出校日、プール当番、餌やり当番……と、びっしり予定の書きこまれたカレンダーを毎日チェックしなければならず、曜日を忘れることなど、とても考えられなかった。

 長女、長男、次男の3人が日本の小学校に通っていた時期などは、迫り来る登校日に合わせて宿題をさせることがプレッシャーにさえ感じられた。でもそれはそれでボケ防止には大いに役だっていたかもしれない。

 南太平洋に浮かぶ小国サモアに暮らしていた4年間も、常夏の国だけに一年中が夏休みのような暑く、だらけた毎日だった。学校は毎日昼過ぎには終わり、12月初めから始まる約2ヵ月間の年度変わりの休みも、宿題も登校日も何もない、まさに学校から100%解放された毎日だった。

 そんな環境の中で、サモアの子供たちは家事を手伝い、兄弟や従姉妹たちの面倒をしっかり見ていた。子供なりに家族の一員としてそれぞれの役割をこなす姿に感心したものだった。

 そのサモアを引きずっている我が家のミシガンでの今年の夏休みはというと、希望すれば地域で用意されている子供向けのサマープログラムなどもあるというのに、ついつい「家庭でのんびりコース」を選択してしまった。

 予定がたっぷり詰まった夏休みを子供に与えたいと思えば、サマーキャンプや読書プログラム、スポーツプログラム、サイエンステクノロジークラスなど、無料のものから有料のものまで選択は豊富で、休み中、子供の面倒をみるのが困難な家庭には強い味方となる。

 綿密なスケジュールをたてて充実した日々を過ごすのも良し、自由にただのんびり自分の趣味を楽しむ夏休みもまた良しだが、自分たちで好きなように選べるというのが気に入っている。

 冬の長いミシガンでは、貴重な夏を満喫できるよう、カーニバルと呼ばれる移動遊園地や、野外音楽コンサート、野外映画会、花火など、家族で手軽に楽しめる夏ならではのイベントも目白押し。

 夏と言う季節は老若男女を問わず、誰もが楽しむためにあるという雰囲気が漂っている。

(shes netに連載されたものを転載しております)


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