8 ハイスクールプロムで一日シンデレラ


ハイスクールプロム

プロムの前に、家の庭で記念撮影。
気分はすっかりシンデレラ。
 長女がハイスクールを卒業した。秋からは地元の州立大学に進学の予定だ。18年前に産声を上げてから今日まで、日本、サモア、アメリカと3カ国にわたる異文化環境の中で成長してきた娘もこの卒業を機に私の「子育て」という枠から外れそうだ。彼女を見守るなかで最近体験したアメリカらしい、ハイスクールの卒業関連行事をニ回にわけて紹介しようと思う。

 卒業が間近に迫ってくると、12年生は数々の行事で忙しい。なかでも「プロム」と呼ばれる学校が主催する卒業前のダンスパーティーに、男子はタキシード、女子はロングドレスで出席する。 通常ダンスパーティーと言えば、男女ペアというのが原則でもあり、このプロムに誰と行くかはシニア(12年生をこう呼ぶ)にとって、卒業式よりも大きな関心事だったりする。数あるパーティーの中でも、いちばんオシャレして臨む。何百ドルもするドレスを親に買ってもらう子もいれば、友達どうしで手持ちのドレスを交換し合ったり、レンタル業者から借りたりと、それぞれだ。

 娘の場合、プロムの少し前に付き合っていたボーイフレンドと別れたばかりなので、間際まで、「プロム、誰と行こう…」が口癖だったが、友達の一人が、娘のために地元の大学生をお相手として調達してくれた。 「ただ調達してもらっても…」と最初は戸惑っていたが、会ってみたら、「これならまぁイケる」と判断したらしく、その即席調達パートナーとプロムに参加することとなった。

 即席調達と言っても、彼はこのパーティーのためにタキシードをレンタルしたり、パーティ参加費用を払ったりと結構経費はかかったはずだ。それでも0Kしてくれたわけだから娘はラッキーだ。 学校主催ではあるが、あくまで希望者のみの参加であるため、中には相手がいないから出席しないという人もいる。娘の場合、紳士な即席ボーイフレンドのおかげで一生に一度のハイスクールプロムに参加することができた。

 夕方5時ごろ会場に集合。まずはプロのカメラマンが、希望者の写真撮影。そしてディナー、ダンスと続き、深夜からはドレスを脱ぎ捨て、場所を移しボーリング大会。その後ファミレスで朝食。学校主催のパーティーだというのに終了時間が明け方の4時だと知り、親の私はただただ、ぶったまげた。

 毎年ハメをはずし過ぎて新聞沙汰になるというシニアもいると聞くが、このハイスクールプロム、アメリカ人にとっては一生に一度の思い出深い行事のひとつと言えるだろう。厳しい校則に縛られながら、日本で女子高に通った私としては、シンデレラのような娘の姿が羨ましかった。もう二十年若かったらなぁ……。

(shes netに連載されたものを転載しております)


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